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江戸の快眠法、おやすみ呼吸体操のやり方

日本人の約7割が何らかの睡眠障害を抱え、4割が6時間未満の睡眠

今回は良く眠るための方法をご紹介しますが、睡眠と心身の健康には深い関係があるというのは、皆さんも感覚的に理解をしていると思います。

ただ残念なことに、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によれば、寝付き、中途覚醒、日中の眠気などの睡眠の質に関する問題が全くない人が成人の31.5%しかいないとのことで、日本人の約7割が何らかの睡眠障害を抱えているようです。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」の結果

また、厚労省の『健康づくりのための睡眠指針2014』では、6時間以上8時間未満を平均的に必要な睡眠時間としていますが、成人の約4割が6時間未満の睡眠というのが現状です。

しっかり眠ることができれば、日中のパフォーマンスも上がりますから、特に現役世代の方の睡眠に対する関心は高いでしょう。

『病家須知』(国立公文書館内閣文庫蔵本)

以下にご紹介する方法は、江戸時代の家庭医学書である『病家須知』に記載されているものです。ベッドの上で寝ながらできるので、疲れている時や、時間のない現役世代の方でも継続しやすくオススメです。

『病家須知』に学ぶ安眠の方法

この方法は、『病家須知』巻一に記されており、本来のやり方とは違う所もありますが、覚えやすいよう簡略化してご紹介します。興味のある方は原文を一読して、自分なりにアレンジして行うのもよいでしょう。著者も以下のように説明して、要点をつかんでさえいれば自分のやり方でやってもよいとしています。

おのれおのれが作略にて、いかようにも便宜にまかせて宜しきなり。

平野重誠『病家須知』巻一(2016年、社団法人農山漁村文化協会発行、中村篤彦監訳、看護師研究会翻刻・訳注)より引用

それでは、早速やり方をご説明いたします。詳しい解説などは、『江戸の快眠法』(晶文社)をぜひお読み下さい。

おやすみ呼吸体操のやり方

手順1 頚や肩の力を抜き、息を「吐く」ことに集中して5回呼吸

目を閉じて肩と首の力を抜く

まず、仰向けに寝て眼を閉じ、頚や肩の力を抜きます。

下腹を意識しながら息を吐く

その後、息を吐くときの下腹がへこんでいく感覚に集中しながら、ゆっくりと5回呼吸します。呼吸は基本的に鼻から吸って口からゆっくり吐く腹式呼吸です。

手順2 胸からおへその両わきあたりまでを50回さする

胸からおへそまでさする

胸からおへその両わきあたりまでを上から下に軽く50回さすります。肘を支点にして肘から先を動かす感じにすると楽です。

手順3 おへその両わきから太ももあたりまでを20回さする

へそのわきから太ももまでさする

おへその両わきから手が無理なく届く範囲で太ももまで軽く20回さすります。

※肩や肘などの関節に痛みなどのある方で、さする動作がしづらい方は、影響の出ない範囲で調節して行ってみて下さい。

手順4 足の親指を20回ゆり動かす

両足の親指を動かす

足の親指を左右同時にゆり動かします。

手順5 息を「吸う」ことに集中して20回呼吸

息を吸うときの下腹のふくらみに集中

息を吸うときの下腹がふくらんでいく感覚に集中しながら、ゆっくりと20回呼吸します。

心身を調和させる方法のひとつとして、ストレス対策にも

この方法は、本来は睡眠の質を向上させるだけの目的ではなく、心身を調和させる方法として考案されたものなので、ストレスの強い方や、自律神経の問題で体調が悪い場合にもよいと思います。最近流行しているマインドフルネス的な感じでもありますね。

個人的に試してみた感想ですが、自分の場合は寝付きをよくするというよりも、いつもより深く眠れるという効果が高いような感覚がありました。同じ睡眠時間でも睡眠の質が向上して日中のパフォーマンスが普段と違う気がします。

寝ながら簡単にできるリラックス法なので、今日からぜひ試してみてください。

(宮下宗三『江戸の快眠法』(晶文社)より)

参考資料

1.平成27年「国民健康・栄養調査」の結果 厚労省(pdf)

2.健康づくりのための睡眠指針2014(pdf)

3.平野重誠『病家須知』社団法人農山漁村文化協会、2016年(翻刻・現代語訳あり)

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