血の状態を調えるレンコン

東洋医学的栄養学   宮下宗三
レンコン

本草書の中のレンコン

 秋から冬にかけてが旬のレンコン。なんとなく身体に良さそうなイメージがありますね。

 よく言われているのが、意外にもビタミンCが豊富だということですが、特にレンコンはデンプンが多いために加熱してもビタミンCが失われづらいようです。

 どれくらい加熱に強いかというと、例えば文科省の『五訂増補日本食品標準成分表』では、茹でたレンコン100g中のビタミンC含有量は18mgとのことで、これはレモン果汁100gの約1/3に相当する多さになります。

 また、食物繊維が豊富なので、便秘への効果も期待できます。さらに、胃などの粘膜を覆っているムチンも含まれているとのことで、胃の不調にもよいのかもしれません。

 このように、現代栄養学的にみてなかなか良さそうな食材ですが、東洋医学的にはどのような効果や性質があるのか本草書を調査してみました。

レンコンは本草学的には血の状態を調える食材で、瘀血体質の人にもオススメ

 『証類本草』という本草書には「気力を益し、百疾を除き、久しく服せば身を軽くし、老に耐え・・・」などと褒めたたえられており、胃の働きをよくするという記載もみられます。

 レンコンは本草学的にも色々と身体に良さそうですが、代表的な効果は、血の状態を調える作用でしょうか。

 本草書の中では吐血・鼻出血・下血などによいとされているので、止血作用があると推測できますが、これはなんとレンコンに含まれるタンニンと同じ働きであったりもします。

 また、東洋医学では体内に滞って身体に害を与える血である瘀血(おけつ)という概念があるのですが、レンコンは瘀血を散らす作用があるとのことです。そのため、産後に食べるとよいとされていたり、打撲の内出血の治療にも使われていたようです。

 なぜレンコンが血の病に用いられるようになったかという逸話も記載されていたのでご紹介します。

宮中の食事を担当する役人が、血の煮こごりを作らせた際、料理人が誤ってレンコンの皮を血の中に落としてしまい、ついに血は固まることがなかった。(太官血䘓を作らしむに、庖人藕皮を削り、誤りて血中に落とす。遂に皆散じて凝らず。)

参考文献:『経史証類大観本草』(柯氏本)、巻二十三、果部

 止血と血を凝固させない作用という、互いに矛盾する働きを兼ね備えているというのが、レンコンの特に興味深い所ですね。

 瘀血といえば、婦人科系の症状の大きな原因のひとつであると東洋医学的に考えられているので、女性にとってもよい食材ということになりますね。調理もしやすく手軽に入手できる食材なので是非どうぞ。

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