チョコレートの健康効果は度々目にすることがあり、心血管疾患の予防などによいとされています。その際、注意事項として必ず糖分や高カロリーの問題が挙げられ、更に、それらとのバランスを考えると絶対的に良いものとは言い切れないという結論になっていることが多いでしょう。
基本的にはミルクチョコレートやホワイトチョコレートにはそれほど高い効果は期待できなく、やはりカロリーの過剰摂取の問題もクリアされているダークチョコレートがいちばんなのですが、甘党の人間からするとはっきり言って美味しくありません。
そこで、そもそもチョコの原料は何かと考えますと、カカオになります。実際、チョコレートの健康効果を説明する記事をよく読むと、カカオポリフェノールの効能の話であることがほとんどです。
では、チョコ以外でカカオが主役のものといえば、ココアがすぐに思いつきます。ココアであれば自分で甘さをコントロールできて、もっと効率よくカカオを摂取できるのではないでしょうか。
そういうわけで、私自身もよくココアを飲むのですが、それだけでは家庭の東洋医学としての記事にはならないので、本草学の知恵を使って、健康効果を増すちょっとしたアイデアをご紹介します。
ココアにシナモンを加えることの効能
そのちょっとしたアイデアとは、ココアを飲むときにシナモンを加えることです。コーヒーや紅茶に入れて飲む方も多いので、全く斬新ではありませんが、実はシナモンは漢方の生薬である桂皮に相当し、様々な漢方薬に配合されているもので、すごく良いアイデアなのです。
この桂皮は、本草書で調べると、肺や咳によく、発汗作用があり、血脈を通じさせ、頭痛や腰痛などにもよいとされています。性質は大熱に分類されているので、身体を温める作用が強いこともわかります。長期間継続して服用するとよいとされていたりもします。
シナモンの過剰摂取が肝障害を引き起こすので注意
ひとつ注意したいのは、シナモンの度を過ぎた過剰摂取です。シナモンにはクマリンという物質が含まれているようで、過剰摂取すると肝障害を起こすとされています。
実際にどれくらいの量が過剰摂取にあたるかは、東京都健康安全研究センターの調査には次のように記載されています。
スパイスのTDI相当量はセイロンで平均360g,カシアで平均1.5gであった.これらのことから,香辛料として通常の食事をする限りでは、TDIを超えることはないと考えられる.
「シナモン含有食品のクマリン分析法及び実態調査」東京都健康安全研究センター研究年報 第59号 別刷
※TDIとは耐容1日摂取量のこと
つまり、セイロンシナモンのパウダーの場合は通常の食事をする限りでは過剰摂取に相当する量を超えることはないと考えられます。
例えば、セイロンシナモンが小瓶一本に20g程度入れられて販売されていることを考えると、18本一気に摂取することで許容量を超えると言うことなので、普通はまず安全といえます。ただ、カシアという種類のシナモンは1.5gなので、沢山ふりかけ過ぎないようにしましょう。
お菓子などでもまず超えることはなく、危ないのはサプリメントの摂取の時だそうです。
なお、東洋医学的には、『証類本草』という文献中の効能に、「堕胎」という二字が見られるので、妊婦さんには向かないと考えられます。
ココアは純ココアを選択し、甘みは純はちみつで調整するのがおすすめ
ココアはスーパーなどで簡単に入手できますが、実はココアという名で売っている物の中には、砂糖とミルクがたっぷりと入ったものがあります。カロリーの事を考えると余計なものはいらないので、ご購入の際は純ココアを選びましょう。
ただ、純ココアは全く甘さがなく、そのままお湯に溶いたら飲めたものではありません。お好みの量の砂糖を加えたりしてもよいですが、個人的にはハチミツがお勧めです。ちなみに、ハチミツにも砂糖水とブレンドされた偽物と、純ハチミツがあるので、ピュアな方を選択しましょう。
牛乳を入れるかどうかは好みが分かれる所ですが、ハチミツと純ココアの相性はたいへん良く、お湯で溶くだけで十分美味しく飲むことができます。夏場に冷たいココアを飲みたい場合は、少量のお湯でハチミツとココアを溶かし、冷たい牛乳を注ぐと病みつきになります。
冷え性の方におすすめ
さて、そういうわけで、ココアにシナモンを加えることで、より健康効果が得られるのですが、特に冷えた身体を温めたい時におすすめです。なんとシナモンは、生薬の中でも葛根湯などの風邪の治療に配合されるものなので、冬場にちょっとゾクゾクする時にもよいでしょう。
継続して飲めば体温が上がっていくことも期待できるので、冷え性の方は是非お試し下さい。
参考文献及び注
「シナモン含有食品のクマリン分析法及び実態調査」東京都健康安全研究センター研究年報 第59号
『経史証類大観本草』(台湾正言出版社, 1978年, 柯氏本影印)