
湿度の高い梅雨が苦手で、体調を崩してしまう方は沢山いらっしゃると思います。ただ、やっかいなことに、湿気から逃げるというのは、基本的に不可能です。
そのため、梅雨を少しでも楽に過ごすためには、湿気に強い体づくりをするしかありません。
今回は湿気に負けない身体づくりのための、家庭でできる「打ち抜きの灸」をご紹介します。梅雨が苦手な方はぜひお試しを。
湿地は戦場の陣取りでも避けられていた

湿気は東洋医学では湿邪という名で呼ばれます。この湿邪は、さまざまな身体の不調と関係しています。なんと江戸時代の軍陣医書である『砦草』には「湿地に陣取ると必ず病を生ずる」とあるほどです。
湿邪は身もこころも重くさせる
湿邪は体を重だるくさせ、関節痛や、胃腸の弱らせると考えられています。また、気分的に落ち込んでしまうという方も多いでしょう。
この湿邪は下半身から侵入し、脾胃※の弱い人が影響を受けやすいともされます。つまり、湿気に強くなるためには、下半身のめぐりをよくし、脾胃を強くすることが必要になります。
※脾胃とは、東洋医学において消化吸収と関係していると考えられている臓腑。
湿邪に強い身体をつくるには?
では、身体下部の気血のめぐりを良くし、脾胃を調えるにはどうすればよいのでしょうか?その方法が、今回ご紹介する「打ち抜きの灸」です。
打抜きとは?
打ち抜きの灸とは、お灸を前後や左右から挟んで、打ち抜くようにお灸をすることをいいます。前後や左右で同じ位置にあるツボを使うことが多く、今回は特に湿邪によいツボの組み合わせを使っていきます。

・三陰交(さんいんこう)
婦人科系の治療によく使われる有名なツボですが、『鍼灸聚英』という明代の鍼灸専門書には「脾胃虚弱」に対する効能もあげられています。足の内側にある全ての経絡がここを通過するので、効率よく全身のめぐりを促進できます。
場所:内くるぶしから指の幅4本分くらい上
・絶骨(ぜっこつ)
三陰交の反対側にあるツボで、足の外側にある全ての経絡がここを通過します。「寒湿」や「湿痺」への効能も歴代の経穴学書にみられています。冷えて浮腫む方にも良さそうですね。
場所:外くるぶしから指の幅4本分くらい上
やり方

家庭用の台座つき灸で行います。両方同時に行ってもよいですが、お灸の先端の角度が下を向いていると、熱気が上昇して火傷になりやすいので注意が必要です。
本来は両方同時にすえるものですが、家庭での安全なお灸のためには、片方ずつ順番にやるようにしましょう。
顔が浮腫む人は陷谷も加える

今回の抜き打ちの灸とは関係ありませんが、顔の浮腫がでる方は陥谷というツボも加えてみましょう。陥谷は胃経という経絡に所属しており、足の陽明胃経という、胃腸と関係の深い経絡のツボです。
場所:足の人さし指と中指の付け根の間から、指の幅3本分くらい上。骨と骨の間のくぼみに取る。
継続的にすえるのがだいじ
今回ご紹介した打ち抜き灸ですが、これさえやれば、スグに嘘のように効くということはありません。梅雨の時期に継続的にすえると、いつもよりちょっと楽に梅雨を過ごせると思いますので、お灸の助けを借りて梅雨を乗り越えましょう。夏バテ予防にもオススメです。
