
東洋医学では、足などの末梢の循環障害が、全身症状と関係していると考えられています。今回は足の冷え対策として、『寿親養老新書』という中国宋代の養生書から、湧泉摩擦法をご紹介します。足の冷えをともなう体調不良のある方はぜひお試しください。
湧泉というツボについて
湧泉は腎の経脈の起点で、腎を養う働きがあります。また、湧泉摩擦は不眠症のケアにも用いられていたようで、寝る前にするのもオススメ。万能のツボとも考えられ、中国明代の鍼灸学書には以下のようなさまざまな効果が記載されています。
咳、喘息、めまい、不安感、動悸、腰痛、便秘、食欲不振、不妊症、口の渇き、頭痛
(参考:『鍼灸聚英』)
湧泉の場所は以下のやり方の冒頭にありますのでご確認ください。
やり方
摩擦は左右両方しますが、ここでは左足を例に挙げて説明していきます。左右同じ要領で2〜3セット行いましょう。
①湧泉摩擦の場所

湧泉の場所は、足の裏の中央の少し上にあるくぼみです。土踏まずのあたりから、この湧泉のあたりまでを摩擦します。
②足の指先をつかんでおく

左手で左足の指先を掴んでおきます。
③30回摩擦

手の平の付け根あたりを足の裏に押し当て、土踏まずあたりから湧泉まで30回摩擦します。
④湧泉を親指で圧迫しながら足の指の屈伸運動

- 右手で左足の指先をつかみ、左手は親指を優先を軽く圧迫するようにつかんでおきます。
- そのまま、右手を使って左足の屈伸運動を10回します。
まとめ
自律神経失調症などの症状で、もし足の冷えを強く感じている方は、足の冷えを改善すると、症状が軽減することがございます。今回ご紹介した湧泉摩擦法は誰でも簡単にできますので、ぜひお試しください。3週間くらい続けると、何かしらの変化が出てくることが多いので、即効性は求めずに、少しの期間続けてみましょう。
参考文献
- 陳直撰. 寿親養老新書. 中国宋代. 国立公文書館デジタルアーカイブ(304-0230).
- 高武. 鍼灸聚英. 中国明代. 国立公文書館デジタルアーカイブ(304-0273).
