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夏から秋にかけての急な下痢と吐き気へのお灸

宮下宗三著者:宮下宗三

 更新日:2024.8.5

夏から秋は、意外とお腹が冷えやすい季節です。この季節に急にお腹を下したり、吐き気したりする方も多いのではないでしょうか。

こういった突然起こる胃腸症状は、東洋医学では霍乱と呼ばれています。暑気あたりと解釈されることもあり、薄着で涼しい場所に長時間いたり、冷たい物のとりすぎで発症すると考えられています。

「鬼の霍乱」という、普段すごく健康な人が、急に具合が悪くなることを表す諺もありますね。

この霍乱にはお灸がたいへん効果的で、中国明代の名医の張介賓はその著書の中で以下のように述べています。

「霍乱にかかって嘔吐や下痢が止まない時は、天枢・気海・中脘にお灸をするとすぐに癒える」
(凡そ霍乱吐瀉止まざるは、中脘天枢関元の四穴に灸す。立ちどころに愈ゆ。:『景岳全書』巻二十)

今回はその3つのツボをご紹介しますので、夏から秋にかけての急な胃腸症状にぜひお試しください。

お灸の場所

天枢・中脘・気海の3つのツボを使います。家庭用の台座付き灸でやってみましょう。実際に下痢や吐き気がなくても、冷たいのものを食べすぎた日や、うっかりお腹を冷やしてしまった時などに、予防的にお灸をするのもいいですよ。

胃腸の不調は体力低下の原因にもなります。夏から秋にかけては、習慣的にお灸をして、お腹を温めるようにしましょう。

天枢(てんすう)

場所:お臍から2寸外。

中脘(ちゅうかん)

場所:お臍の上4寸。

気海(きかい)

場所:お臍の下1寸5分。

お腹の汗を拭き、お臍を守る

汗は意外とお腹にもたまりやすく、汗を放置したままエアコンの効いた部屋にいると、冬場よりもお腹が冷えます。汗をかいた時は、首や顔だけでなく、お腹の汗も拭う習慣をつけましょう。

就寝時にはお臍の上に手を置いて、温めながら寝るのもオススメです。お臍には神厥というツボがあり、霍乱にも大変効果があります。

冷たい物はほどほどに

夏は果物の美味しい季節でもありますが、果物はできるだけ常温に近くして、キンキンに冷やし過ぎないようにしましょう。胃腸の冷えは全身的な疲労感にもつながります。西瓜や梨などの、薬膳的に冷性の果物を食べる時は、特に注意したいところです。

参考文献

張介賓『景岳全書』(国立公文書館内閣文庫所蔵、請求番号:301-0029)