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身体的な疲労感には2種類ある – 養生訓に学ぶ006

宮下宗三著者:宮下宗三

 更新日:2025.3.3

 年に数回、休日に家に自分一人だけのことがある。そんな日は、疲労を取りたいので、できるだけダラダラ過ごす。

 遅めに起き、タブレットで動画を観ながら納豆ご飯を食べ、あっと言うまにお昼が来て、ご飯を作るためにスーパーに買い出しに行く。

 ちなみに寝間着は絶対に着替えない。寝間着はトレーナーとスウェットなので、冬はコートを羽織れば誰も気にしない。春や夏は、私これからジョギングをするんです風の寝間着を着るので、堂々と行ける。

 昼と夜の食材を買い出して、家に戻って料理をする。ご飯を作るのは好きなので、これは苦にならない。あとは寝転がったり、動画を視たり、スマホをいじったりしているうちに一日が終わる。

 こんな感じでダラダラ過ごすと、疲労感がすごく取れそうだが、なぜだか取れない。

 そもそも自分は疲れているのだろうか?鍼灸師という仕事は、肉体的にはほとんど疲れない。鍼を打ち、モグサをひねるだけだ。ほぼ指先しか動かさない。

 自分のこの疲労感は、肉体の疲労ではないのだ。なので、一日安静に過ごしたところで解消できないのだろう。

身体的な疲労感には二種類ある

 そういえば『養生訓』には「身を按閑にするは、反って元気滞りふさがりて病を生ず」と書かれていた。つまり、身体を安静にしすぎることで元気が滞り、それが疲労感として出るのかもしれない。休日にダラダラ過ごすと、ただでさえ欝滞している気が、余計に滞ってしまうのだ。

 身体的な疲労感は2種類ある。肉体労働によるものと、安静にしすぎることによる疲労感だ。もしかしたら、現代人の疲労感の多くは後者なのかもしれない。

 貝原益軒はまた「家に居て時々わが体力の辛苦せざる程の労働をなすべし」とも言っている。これからは休日も早起きして、少し運動をしよう、と一瞬だけ思った。