
お風呂の栓を抜いたまま、給湯ボタンを押してしまうことが数年に一回くらいはある。滅多にないうっかりミスだ。排水しながら給湯するので、いつまでもお風呂は沸かない。当たり前のことだが、根本的な問題に気づかないと、その問題はいつまでも解決しない。以後気をつけます。
『養生訓』にも実は同じようなことが記載されている。もちろんお風呂のお湯のことではない。農業を例に挙げた養生の基本姿勢で「作物を育てるには、まず雑草を除きなさい」とある。雑草がはびこった状態で、水や肥料をやっても、作物はうまく育たない。健康になりたければ、まず害になることを見極め、それを除きなさい、ということだろう。
では、健康にとって害となる雑草的な物事とは何だろうか?貝原益軒はこの「雑草」について、大きく内慾と外邪の二つに分けている。「内慾」とは「食」「睡眠」「安楽」「色」「言語」「七情」などの欲で、行動に関するもの。もうひとつの「外邪」は「暑い」「寒い」「湿気」「乾燥」などの環境のことだ。
雑草を書き出して刈り取る

健康に気をつけようと思い立ったら、まずは内慾と外邪から、自分の害になっていそうなものを見つけ出してみよう。「内慾」については、生きていく上で必要なものなので、食べ過ぎ、飲み過ぎ、楽をし過ぎなど、過度になっている行動を探す。それが自分にとっての雑草になる。頭で考えるだけではすぐに思い浮かばないので、紙に書き出すのがおすすめだ。
ちなみに、雑草は完全な害悪ではなく、刈り取った雑草を適切に処理して土に戻し、土壌を豊にするという方法もあるらしい。欲は雑草のように無限に広がるもので、人間が生きている限り無欲になるのは無理だろう。伸び過ぎた「内慾」を時々刈り取って、自分を育てる肥料として付き合っていこう。