痛くない微鍼術で全身を調える

成鍼堂ロゴ

完全予約制

LINE MAIL tel

消化を助ける食後習慣 – 養生訓に学ぶ004

宮下宗三著者:宮下宗三

 更新日:2025.1.14

 食事をした後、正常であれば数時間で消化されるはずだが、胃の働きが悪いと、胃の中に食べた物がずっと残っているような感覚になる。

 こういった「胃もたれ」などと呼ばれる症状は、集中力や、やる気の低下にもつながり、スムーズな消化吸収は、心身の健康維持と密接な関係がある。

 今回は食後の習慣を見直すことで、消化を円滑にする方法を『養生訓』から学んでいく。『養生訓』では食後の悪習慣として、食後にずっと座っていたり、寝てしまうと、「食気がふさがって、甚だ元気を損なう」と戒めている。

 そして飲食物の消化を助けるためには、軽く身体を動かすとよいとある。「食休み」とは真逆の考え方だが、一体どのようにすればよいのだろうか。

食後はどのような運動がよいか

 食後の運動は、手足を動かしたり、歩行をすることが勧められている。つまり、運動といっても極めて軽い動きということだ。

 食後に外に出られない場合は、家の中を軽く掃除などしてもよいだろう。激しい運動は逆効果になるので、ジョギングなどはもちろん向かない。

食後の按腹術

 軽めの運動以外では、貝原益軒は「腰腹をなでさする」ことについても言及し、これは按腹という養生術のことだろう。按腹には睡眠前にするものなど色々とあるが、食後にする按腹は次のように行う。

❶大きく口を開けて腹から息を数回吐き出す。
❷親指を前に脇腹に手をかけ、下に向けて十五回なでおろす。

大根の汁を飲む

『本草綱目』には、大根には「穀物を消化する(消穀)」効果があると記載されている。

 昔の人の知恵として、消化を助けるために、食後に生の大根をよく噛んで食べたり、大根の汁を飲むなどという方法もある。

 実は大根にはジアスターゼという消化酵素が多く含まれ、穀類の消化を助ける働きがあることが知られ、現代栄養学的にも理にかなっていたりする。

 基本としては腹八分を守るべきだが、食べ過ぎて消化が追い付かない場合にはよい方法だ。