
強いストレスに状態にある人は、楽しいことをして、嫌な気分を上書きしていくとよい。
ただ、楽しいことも過度になると害になる。代表的なのは過食や飲酒だろう。依存性の高いものは、高ストレス時ほど慎重に接触すべきだ。
『養生訓』には、こころを楽しませ、気を養うために、「地味に楽しい」が勧められ、具体的には次のような事が列挙されている。
ひとり家に居て閑に日を送り、古書をよみ、古人の詩歌を吟じ、香を焚き、古法帳を玩び、山水をのぞみ、月花をめで草木を愛し、四時の好景を玩び、酒を微酔にのみ、園菜を煮る
この一文を読むだけで癒された気分になったあなた。次の休日にでも、ぜひ地味に楽しいを実行してもらいたい。
自分にとっての地味に楽しい
『養生訓』に列挙されているのは、江戸時代の人にとっての地味に楽しいだ。なので、自分が過去に感じたことのある楽しさや、心地よさは何だったのかを、紙に書き出してリスト化する。

こころの健康のために実行する、地味に楽しいの基本は、日常の中の楽しさである。
もし非日常の楽しさをリストに入れたい場合は、普段は百円台のアイスしか食べないところを、ハーゲンダッツにするくらいの、控えめな非日常にしたい。また、夢中になるくらいすごく楽しいはあえて避ける。
リスト化できたら、今度はその地味に楽しいを実行する日時を決める。一日中フリーに過ごせる人は、そんな予定を立てる必要はないが、家族と住んでいたり、休日も用事の多い人は、誰にも邪魔されない時間を見つけてやってみよう。
深く息を吸いながら朝日を浴びたり、香りを楽しみながらコーヒーを淹れたり、音楽を小さくかけながら読書をしたり、軽い散歩をしたり、セルフ灸をしたり。
地味に楽しいは日常にありふれたことばかりだ。
それを意識的に味わうと、不思議と心が凪いでくる。忙しく過ごしていると、楽しさや心地よさに鈍感になってしまうのかもしれない。