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入院中に自分でできる乳腺炎・母乳のツボ療法

宮下宗三著者:宮下宗三

 更新日:2023.12.26

 今月初めに子供が産まれ、もう2週間ほど経ちます。

 妻と赤ちゃんは先週無事退院しましたが、実は出産後に順調に回復するように入院中の病室でも鍼治療をしていました。治療といっても特に体調面では問題なかったので、母乳の出をよくする鍼をメインに行っていました。

 うちの妻の場合、出産当日からチョロチョロと母乳が出だしたようなのですが、胸の張りが少し辛いとのことなのです。

 とりあえず自分の専門分野である鍼灸で今すぐできることは何かないかと思い、当時は病院から帰宅しては本棚にある昔の医学書を色々と読んで研究していました。

 すると、今からだいた1400年くらい前に成書された『諸病源候論』という本の中に「妬乳」という病名で少し似た症状が出ていることを発見。

 原文が漢文なので、以下に簡単に意訳してみます。

産後ニ子供ガマダ上手ク飲ムコトガデキズ、飲メタトシテモ乳ガ出ナイ、或イハ乳ガ張リ、乳房ヲ揉ンデモ乳汁ガ出切ラナイコトニヨル。コレラハ乳汁ヲ欝滞サセ、ソレガ血氣ト衝突シ、高熱ヲ生ジテ水ヲイクラ飲ンデモオサマラナイホドニ咽ヲ渇カセ、胸ガ硬ク腫レ痛ミ、手ヲ近ヅケル事ガデキナイホドニナル。初期症状ガ出タラスグニ手デ母乳ヲ外ニ出スヨウニシ、同時ニ誰カニ吸引スルノヲ手伝ワセル。コノヨウニシナイト、出来物ヲ発生シテ膿ガ出テ、ソノ熱ノ勢イガ盛ンデアルト腫瘍ニナル。

(原文書き下し:此れ新産の後、兒未だ之を飲むこと能わず、及び飲めども泄せず、或いは乳張り※1、其の乳を捻めども汁盡きざるに由る。皆乳汁をして蓄結せしめ、血氣と相搏し、即ち壯熱し大いに渴して飲を引き、牢強掣痛し、手近きを得ざるが是なり。初めて覺ゆるに便ち手を以て其の汁を捻去するを助け、并せて傍人をして之を嗍引するを助けしむ。爾らずんば、瘡を成し膿有り、其の熱勢盛んならば則ち癰を成す。※1:原文では「乳張」を「断兒乳」に作るが、丁光迪『諸病源候論校注』校勘記にある『聖恵方』の記述に従い改めた。)

 まさに現代医学で言うところの乳腺炎そのものですね。しかも昔から乳房のマッサージや搾乳という手当てが乳腺炎予防のためになされていたのには感心します。

 妻の場合、乳腺炎というほどの深刻なものではないにせよ、「妬乳」に対する治療をすれば今の症状を緩和するのに良いだろうと思い、入院中の病室で「妬乳」に効果があるだろうと思われる場所に鍼をしてみました。

 何人もの人に試してないので偶然かもしれないですが、これで結構出が良くなってきたような気がします。家族に鍼灸師がいるとこういう時便利です。

 前置きが長くなりましたが、せっかく調べたので、これから出産をむかえる方々へ自分でできる対処法として今回まとめてみました。。

 出産後の病室で自分でできる乳腺炎や母乳の出をよくするツボ療法です。

やり方

1.手の小指の爪際をつまむ

(1)写真のような感じでひとさし指と中指で挟むようにして、小指の爪際を両側からゆっくり圧力をかけていきます。

小指のツボ押し

(2)ちょっと痛いかなという手前くらいの所でそのまま圧力を保持し、10秒数えます。

(3)10秒たったら力を抜きます。

以上を3回繰り返してください。

2.手首のツボ押し

手首を軽く曲げるとシワができると思うのですが、そのシワの親指側の端にある大淵という名前のツボを押します。

大淵

(1)親指でゆっくり軽めの圧を加え、指を押し込んだまま10秒ほど保持。

(2)10秒たったらゆっくり親指の力を抜いていきます。

以上を3回繰り返してください。

3.胸の骨の真ん中辺りを指圧

咽の下からみぞおちにかけて骨があると思うのですが、その骨の中心にある膻中というツボを押します。

だんちゅう

(1)親指でゆっくり軽めの圧を加え、指を押し込んだまま10秒ほど保持。

(2)10秒たったらゆっくり親指の力を抜いていきます。

以上を3回繰り返してください。

4.肩甲骨の角を指先でトントン叩く

肩甲骨の内側の上角あたりを指の先で30回ほど軽く素早くトントンと叩きます。イメージ的には鳥がクチバシで木を突っつくような感じです。

肩甲骨のツボ

 やり過ぎると刺激過度でだるくなることがあるので、以上を1日朝昼晩の3回を限度に行ってみてください。